在庫を増やしても、欠品が解消しないのはなぜでしょうか

作成者: Clover Plus編集部|Jul 28, 2026 2:00:00 AM

仕入れ担当者が在庫不足を恐れて発注量を増やし続けているのに、現場から「あの商品が足りない」という声が止まらない。そんな状況に心当たりのある方は少なくないかと思います。倉庫が物でいっぱいなのに、必要な商品だけ欠品している。矛盾のように見えますが、在庫管理の現場ではむしろよくある光景です。この問題の根本は、在庫の「量」にあるのではなく、「見えていない場所と品目」にあることが多いといえます。

過剰在庫と欠品はなぜ同時に起きるのか

在庫の問題を突き詰めると、「何が、どこに、どれだけあるか」を正確に把握できていないことに行き着く場合がほとんどです。売れ筋の商品が別拠点の棚に眠っていて、本来必要な場所には届いていない。あるいは、動きの遅い商品が積み上がる一方で、回転の速い商品の補充が追いつかない。こうした状況が重なるとき、在庫全体の量を増やすだけでは問題は解決しません。

在庫を保有するには相応のコストがかかります。一般的に、在庫金額の10〜30%程度が保管費、金利、陳腐化リスクなどの保有コストとして発生するとされています(1)。過剰在庫は「安心」ではなく、経営資金の固定化として働き、キャッシュフローを静かに圧迫し続けます。在庫が動かないまま倉庫スペースを占有している間も、そのコストは積み上がっていきます。

需要の読み誤りが過剰在庫を生み、補充のタイミングを誤れば欠品を招く。この二つは別々の問題に見えて、実際には根が同じです。どちらも、現状の在庫と今後の需要を正確に把握できていないことから起きています。

クラウドERPが在庫管理にもたらす変化

在庫の過不足を防ぐには、「今、何がどこにあるか」をリアルタイムで把握したうえで、「いつ、何を、どれだけ補充すべきか」を根拠に基づいて判断できる仕組みが必要です。クラウドERPは、この両方を同一のプラットフォームで実現します。

売上実績や季節変動のデータをもとに補充のタイミングと量を自動で算出する仕組みが整えば、経験則や担当者の勘に頼った発注から脱却できます。在庫が一定水準を下回ると、システムが自動でアラートを発信して購買担当者に通知する。この仕組みが機能していれば、欠品は「起きてから対処する」ものではなく、「起きる前に防ぐ」ものに変わります。

複数拠点を持つ企業では、拠点間の在庫移動を活用することも有効な手段になります。ある拠点で過剰になっている商品を、不足している別の拠点へ移動させる。全拠点の在庫をリアルタイムで比較できる環境があれば、こうした判断が現実的に行えるようになります。

NetSuiteの在庫管理機能を具体例として

NetSuiteの在庫管理では、過去の販売データや季節変動、平均リードタイムをもとに再注文ポイントを動的に管理できます。固定の発注点ではなく、実績に基づいて自動で更新される仕組みです。在庫が設定水準を下回ると、購買マネージャーへ発注タスクが自動で通知されます(2)。

Item 360ダッシュボードは、一つの商品に関するあらゆる情報を一画面に集約します。現在の在庫数量、拠点別の在庫内訳、予測在庫レベル、欠品予想や過剰在庫のアラートがリアルタイムで確認できます。担当者が複数の画面を行き来しなくても、判断に必要な情報がその場で揃う状態が整います。

食品や医薬品、化粧品など期限管理が重要な業種では、ロット番号と有効期限を紐付けて管理するトレーサビリティ機能も活用できます。有効期限の近い商品から優先して出荷する在庫引当ルールを設定することで、廃棄ロスを構造的に抑えることが可能になります。需要予測に基づく補充管理と組み合わせることで、適正在庫の維持と廃棄削減を同時に進めることができます。

在庫の量を増やすことは、問題の解決ではなくその場しのぎになりやすいといえます。補充のタイミングと量を正確に判断できる根拠を持つこと、そしてその判断を支える仕組みを整えること。この二つが揃ったとき、過剰在庫と欠品の同時解消に向けた道筋が初めて見えてきます。

参考・出典
(1)2025年以降に在庫管理が直面する20の課題とその解決策 | NetSuite https://www.netsuite.co.jp/resource/articles/inventory-management/inventory-management-challenges.shtml
(2)在庫管理ソフトウェア | NetSuite https://www.netsuite.co.jp/products/erp/warehouse-fulfillment/inventory-management.shtml